第Ⅲ章 計画の全体像

1 基本姿勢
(1)SDGs(持続可能な開発目標)の視点を踏まえた計画の推進
SDGsとは、2015年9月、国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲げられた2016(平成28)年から2030(令和12)年までの国際目標です。「誰一人取り残さない」を基本理念に、経済・社会・環境の諸問題の解決に統合的に取り組み、持続的な世界を実現するための17の目標を定めています。
「横浜市中期4か年計画2018~2021」では、計画を推進する基本姿勢として、あらゆる施策においてSDGsを意識して取り組んでいくこととしています。「第5次横浜市男女共同参画行動計画」においても、SDGsの視点を包括的に取り入れ、男女共同参画施策を推進するにあたって、誰一人取り残さない決意で、地域や企業、関係団体など、様々な担い手と協働・連携しながら、男女共同参画社会の実現を目指します。
同時に、市の政策・施策を進める際の基本的な視点として、目標5「ジェンダー平等を実現」を位置付けられるよう、計画の推進体制を整備・強化します。

(2)新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた取組
新型コロナウイルス感染症の拡大により、労働環境や家庭環境を含む社会環境は急激に変化しています。男女共同参画施策の推進に際しては、深刻な影響(休業・失業等による経済的困窮やDVの深刻化、家庭生活における家事・育児等の負担増)と新たな可能性(テレワークの拡大や在宅時間の増加等)について十分に検証し、中長期的に対応を進めていく必要があります。本計画を推進するにあたっても、社会情勢の変化に合わせて、各取組の見直しを随時行っていきます。
(3)市役所が率先する姿勢
女性活躍・男女共同参画の推進にあたっては、市役所が自ら率先して取り組み、その姿勢を示すことで、市内企業や市民の理解促進、取組の推進につなげていきます。本計画に、市役所の取組を幅広く盛り込み、男性の育児休業の取得促進や職場・職種ごとの課題解決など、全ての職員にとって活躍しやすい職場環境の実現を目指します。
2 施策体系
基本姿勢を重視しながら、横浜市の現状と課題を踏まえた「3つの政策」と「10の施策」「行政運営」により、計画を推進します。

政策1女性活躍のさらなる推進
施策1 働きたい・働き続けたい女性の活躍推進
施策2 誰もが働きやすい職場づくりや社会環境づくり
施策3 市役所における女性活躍・男女共同参画と働き方改革

政策2安全・安心な暮らしの実現
施策4 DV防止とあらゆる暴力の根絶
施策5 困難を抱えた女性への自立支援
施策6 ライフステージに応じた女性の健康支援
施策7 多様な性のあり方への支援と理解の促進

政策3誰もが活躍できる豊かな地域・社会づくり
施策8 男性の働き方改革と家事・育児・介護への参画推進
施策9 地域・教育における男女共同参画の推進
施策10 広報・啓発による意識改革と機運醸成

行政運営
計画の推進に係る体制整備


横浜市の現状と課題
実質的な男女格差 、コロナによる雇用情勢の悪化
○働く女性は増えたが、働く実態として実質的な男女格差は大きく、様々な課題がある
○新型コロナによる雇用情勢の悪化は、特に非正規職の多い女性へ大きく影響
誰もが働きやすい職場づくりへの対応
○中小企業では人員的に余裕がないことなどから、取組は道半ばの状態
○新型コロナ対応により多様で柔軟な働き方の推進は、企業規模問わず喫緊の課題に
性別にまつわる困難やリスクの顕在化
○DVや性暴力などの被害、経済的困窮など、特に女性において問題が深刻
○新型コロナの影響により、性別にまつわる困難やリスクがさらに拡大
根強く残る性別役割分担意識
○「夫は仕事、妻は家庭」は薄れつつあるが、いまだ女性に家事育児等の分担が大きく偏る
○外出自粛や在宅勤務への対応により、女性の負担増の一方、男性の役割に変化の兆し

3 指標
行動計画に基づく取組内容や目標達成の状況を確認し、着実に推進するため、本計画では「成果指標」と「活動指標」の2つの指標を設定します。5か年で達成すべき目標値を掲げ、概ね1~2年ごとに定点観測しながら、計画の進捗管理にいかしていきます。
成果指標
○男女共同参画社会の実現に向けて、社会の達成状況を測るための数値目標
○分野横断的に様々な政策や取組が複合的に関わり成果を生み出すことから、代表的なものを行動計画全体に対して設定します
活動指標
○行動計画に基づく取組の想定事業量や、取組の進捗状況を測る統計データ
○具体的な取組・事業の進捗状況を測るものであるため施策ごとに設定します
(施策10「広報・啓発による意識改革と機運醸成」は、施策1~9を広報・啓発の面から集約した施策であるため、活動指標は設定しません)

●成果指標(*令和7年度までに達成を目指す数値)

成果指標
管理職に占める女性の割合
現状値
市内企業 課長級以上 17.2%(令和2年度)
市役所責任職※1 課長級以上 17.9% 係長級以上 23.7%(令和2年4月1日)
目標*
30%以上

成果指標
男性の育児休業・休暇取得率
現状値
市内企業 育児休業17.6%(令和2年度)
目標* 
30%
現状値 
市役所※2 育児休業16.5% 1か月以上 10.2%(令和元年度)
目標* 
1か月以上 30% ※3
現状値
市役所※2 育児関連休暇※4 78.0% (令和元年度)
目標*
 100%

成果指標
家庭生活において男女が平等になっていると思う市民の割合
現状値
33.0% 男性 40.9% 女性 25.3% (令和2年度)
目標* 
10ポイント増

成果指標
市民のDVの理解度※5
現状値
精神的暴力59.8% 性的暴力74.1%(令和2年度)
目標* 
各10ポイント増

※1: 教職員及び特別職を除く
※2: 企業局職員及び市立学校教職員を除く(ただし、市立高校教職員は含む)
※3: 育児休業取得率(全数)の目標値は、次期横浜市職員の女性ポテンシャル発揮・ワークライフバランス推進プログラム策定年度(令和3年度)に設定
※4: 「配偶者の出産のための休暇」「男性職員の育児参加休暇」を3日以上 
※5: 男女共同参画に関する市民意識調査における精神的暴力、性的暴力について「暴力にあたると思う」と答えた市民の割合。精神的暴力は6事例、性的暴力は2事例の平均値

●活動指標
*令和7年度までに達成を目指す数値
  目標年度が計画期間の途中年度となっている場合は、その年度に到達した時点で目標値を見直します

政策1
施策1
活動指標
女性の就労支援窓口への相談件数※1
現状値
2,762件(令和元年度)
目標*
2,800件(令和3年度)
活動指標
女性管理職登用に向けた取組を実施している企業の割合
現状値
21.4%(令和2年度)
目標*
30%
活動指標
女性起業家の支援件数※2
現状値
1,345件(令和元年単年度)
目標*
6,000件(令和3から7年度累計)

政策1
施策2
活動指標
よこはまグッドバランス賞認定企業数
現状値
199社(令和2年度)
目標*
300社
活動指標
横浜健康経営認証制度新規認証事業所数
現状値
585事業所(平成30から令和2年度累計)
目標*
785事業所(平成30から令和7年度累計)
活動指標
保育所等待機児童数
現状値
27人(令和2年4月1日)
目標*
0人
活動指標
ハラスメント対策を実施している企業の割合※3
現状値
36.8%(令和2年度)
目標*
50%

政策1
施策3
活動指標
市職員の年次休暇取得率(10日以上)
現状値
市役所職員※4 75.9%(令和元年度)
市立学校教職員 75.4%(令和元年度)※5
目標*
100%
活動指標
市役所における女性職員の係長昇任試験受験率(事務A区分)
現状値
21.9%(令和2年度)
目標*
50%
活動指標
女性割合40%未満の附属機関数(3人以下の附属機関を除く)
現状値
59機関(令和2年4月1日)
目標*
30機関

政策2
施策4
活動指標
DVに関する相談窓口の認知度※6
現状値
70.6%(令和2年度)
目標*
80%
活動指標
DVに関する相談件数
現状値
4,604件(令和元年度)
目標*
5,300件(令和6年度)

政策2
施策5
活動指標
市の支援事業によるひとり親の就労数
現状値
337人(令和元年単年度)
目標*
2,300人(令和2から6年度累計)

政策2
施策6
活動指標
産婦健康診査の受診率
現状値
83.4%(令和元年度)
目標*
89.0%(令和6年度)
活動指標
子宮頸がん・乳がん検診の受診率
現状値
子宮頸がん52.2% 乳がん51.6%(令和元年度)
目標*
各50%維持(令和4年度)

政策2
施策7
活動指標
多様な性のあり方を理解している市民の割合※7
現状値
70.9%(令和2年度)
目標*
80%

政策3
施策8
活動指標
平日・共働き世帯における女性と男性の家事・育児・介護時間の割合
現状値
4:1(令和2年度)
目標*
3:1
活動指標
地域の父親育児支援講座の参加者数
現状値
728人(令和元年単年度)
目標*
7,640人(令和2から6年度累計)

政策3
施策9
活動指標
「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」とは考えない市民の割合※8
現状値
53.4%(令和2年度)
目標*
10ポイント増
活動指標
女性の視点を取り入れた地域防災訓練を実施している地域防災拠点数
現状値
163/459拠点(令和元年度)
目標*
230拠点※9

※ 1: 男女共同参画センター「女性としごと 応援デスク」相談及び横浜市就職サポートセンター女性就労相談の合計件数  
※ 2: 「女性起業家のための経営・創業相談、講座」等を通じて支援した件数
※ 3: 職場のあらゆるハラスメントについて、対策を実施している事業所の割合
※ 4: 企業局職員及び市立学校教職員を除く(ただし、市立高校教職員は含む)
※ 5: 市立高校教職員を除く
※ 6: 男女共同参画に関する市民意識調査において、相談先として具体的な名称を1つ以上回答した人の割合
※ 7: ヨコハマeアンケート「LGBTなど性的少数者に関するアンケート」において、性的少数者に対するイメージについて「多様性や個性のひとつである」と回答した人の割合
※ 8: 男女共同参画に関する市民意識調査において、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」に対して「反対」「どちらかというと反対」と回答した人の割合
※ 9: 全地域防災拠点が女性の視点を取り入れた防災訓練を2年に1回実施することを目標として設定