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学び、つどい、体験する	図書館の未来のカタチ
横浜市図書館ビジョン
<概要版>

(イラスト。新たな図書館像のイメージ図)


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(イラスト。1~2頁見開き。新たな図書館像のイメージ図)

はじめに

図書館はこれまで本という媒体を通じて人々に知識・情報を届けてきました。いま、情報伝達の媒体は、本だけではなく電子メディアや動画など多様化しています。そして情報は得るだけではなく、誰もが、創り、編集し、発信することもできるようになりました。さらに、本から始まるつながりづくりを重視した向き合い方も出てきています。
「横浜市民の読書活動の推進に関する条例」(平成26年4月施行)をうけ、図書館は、市民の読書と学びを支える地域の情報拠点として、蔵書の充実、図書取次所や移動図書館の充実、電子書籍サーピスの導入などにも取り組んできました。市民の皆様からは、図書館に、子どもたちの居場所づくり、子育て中の方へのサポート、地域とのつながりづくりなどの役割も期待されています。一方で、施設・設備の老朽化や本の物流への対応、収容スペースの確保などの課題もあります。
変化し続ける時代に対応し、市民の皆様、まちとともに新しい時代を創ることができる図書館であり続けるために、10~20年後を見据え、これからの図書館の「目指す姿」や「取組の方向性」を示すものとして横浜市図書館ビジョンを策定します。


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新たな図書館像

これからの図書館は、読書を通じて「知る・学ぶ・深める」ことができるのはもちろん、未来を担う子どもたちや子育て世代をはじめとしたすべての市民一人ひとりにとって、居心地よく自由に過ごすことができる、多様な人々の「つどう・憩う」場になります。
図書館は、読書に加えて、触ったり、聞いたりと様々な感覚で「遊ぶ・体験する」ことができ、様々な知や人、文化に出会え「まちとつながり・交流」できる、“わくわく”を見つけられる場になります。さらに、子育てや暮らしをより豊かなものにするために、市民の皆様や地域の団体、企業の方たちがアイデアを出し合い、「連携・協働」して解決方法や、新しい“わくわく”を創り出せる、子どもから大人まで、みんなが主役になれる場となっていきます。
市民の皆様一人ひとりが自分らしく活躍できる社会、そして社会とともに変わり続けられる図書館を創っていきます。


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5つの基本方針と取組の方向性
これからの図書館のあり方について5つの基本方針を定めました。基本方針4、5はサービスを支える仕組みに関する方針です。
(イラスト。)

1 未来を担う子どもたちのための図書館
多様な知や人・文化との出会いや体験を通して、子どもたちの「知りたい」「創りたい」を引き出すわくわくする場となり、「自ら学び 社会とつながり  ともに未来を創る」※子どもたちを育むとともに、子育て支援施設や学校など地域とのつながりのなかで、子育てを支援します
※自ら学び 社会とつながり  ともに未来を創る:「横浜教育ピジョン2030」(平成30年2月策定)の横浜の教育が目指す人づくりより

●子どもたちの世界を広げるきっかけをつくります
●子どもを連れて何度でも行きたくなる環境・施設を整えます
●子育て支援施設や学校、地域とのつながりのなかで子ども・子育て世代をサポートします
例えば・・・体験イベント、くつろげる子どもスペース、多世代交流イベント
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2 あらゆる市民のための図書館
読む・知る・体験することのバリアを取り除き、あらゆる世代・多様なニーズを包摂(インクルージョン)する、読書と体験ができる居心地のよい居場所となることで、人々がつどい、様々なつながりと新たな発想を生み出す、交流・創造・発信の拠点となります

●あらゆる人が知識・情報にアクセスできるようにします
●居心地のよい、居場所となります
●体験・交流・創造・発信の拠点になります
例えば・・・施設のバリアフリー化、ゆとりある閲覧スペース、アイデアを持ちよるワークショップ、多言語や手話のおはなし会
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3 まちとコミュニティのための図書館
市民、団体、企業等が持つ情報・知識を集め、協働・共創により地域の魅力を引き出し、人々の暮らしの豊かさと地域の課題解決を支援する、まちづくりのプラットフォームになります

●地域の魅力に出会える、まちづくりのプラットフォームになります
●地域・まちの知識・情報を集め、アーカイプし、次世代につなげます
●地域や社会の課題解決を支援します
例えば・・・市民・団体・企業等との連携イベント、地域資料のデジタル化と公開、まちの魅力に出会えるスペース
(イラスト。)

4 利用しやすい図書館サービス
デジタル技術を活用した情報とサービスヘのアクセスの充実、使いやすく居心地のよい環境づくりに向けた施設の機能拡充とサービス拠点の充実を進め、リアルでもバーチャル空間でも、情報とサービスにアクセスしやすい環境をつくります

●デジタル技術を活用し、いつでもどこでも利用できる図書館サービスを提供します
●図書館機能の拡張と、利便性の高い場所での図書館サービスの提供の両立を目指します
●積極的に情報発信を行います
例えば・・・電子書籍の充実、ニーズの変化に対応できる施設、SNSの活用
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5 柔軟に変化し魅力がいつまでも持続する図書館
多種多様なパートナーとの協働・共創や司書の人材育成、効率的・効果的なサービス提供とツールの充実により変化に柔軟に対応し、一人ひとりの心豊かな暮らしと主体的に活動する地域づくりに貢献する、魅力あふれる図書館であり続けます

●地域で活動する多様な主体と連携、協働・共創します
●変化し続ける図書館を支えるため、市の強みである司書を育てて活かします
●効率的・効果的なサービス提供とツールの充実を進めます
例えば・・・協働・共創によるプログラム運営、職員のチャレンジを支える組織、貸出・返却のセルフ化
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新たな図書館像の実現に向けて
(イラスト。)

1 コレクション・レファレンスの充実
図書館には、すべての人が知識や情報を得ることができる権利を保障する、大切な役割があります。これからも、この役割は変わることはありません。世界には多種多様で大量の知識や情報が存在します。生成Alなど新たな技術が誕生する時代のなか、これらの技術を使い、情報を主体的に選び、創造できるメディア情報リテラシーが大切です。図書館は、それら膨大な知識や情報への入口であり案内役となります。
また新たな図書館像の実現に向けて、今後は体験・遊び、交流等の機会を増やしていきます。そこから生まれる興味や、好奇心、主体的な学びを支えるためにも、コレクション(図書館が提供する蔵書・情報)を充実させます。
(イラスト。)

2 図書館の施設整備の考え方
財政ビジョンで示すファシリテイマネジメント※の考え方と財政負担を考慮し、1区1館を基本としながら、機能の拡張とアクセシビリティの向上の両立、脱炭素社会の実現を目指し、施設整備等を進めていきます。
※財政ビジョンで示すファシリテイマネジメント:「横浜市の持続的な発展に向けた財政ピジョン」に掲げた資産経営アクションの取組。都市経営の観点から、本市が保有する土地・建物等の「資産の戦略的利活用による価値の最大化」と「公共施設が提供する機能・サービスの持続的な維持・向上」の2つの視点から、保有のあり方・維持管理・利活用の最適化を図る考え方

機能拡張:5つの基本方針を軸として、各図書館の立地、地域特性等を踏まえ、機能を拡張します。
立地:現地での建替えやリノベーションを基本としつつ、より利便性の高い主要駅周辺や、より魅力的な空間形成が図られる場所への移転などにより、アクセス性の向上や、機能拡張に必要な空間を確保します。
規模:集客圏の広さなど、立地場所が持つ地域特性などを考慮し、より幅広い利用が期待できる場所で整備する場合には、想定される圏域・利用人口を勘案した規模とします。

3 新たな機能・機能拡充に伴う空間づくりの考え方
これからの図書館では、多様な利用者のニーズに応えられる、滞在したくなる、居心地のよい空間づくりを進め、図書館で過ごす中で様々な活動に触れられ、参加を後押しできる場となります。そのために必要な、くつろぎや体験・交流の空間などの諸室を配置します。

(イラスト。多様な過ごし方が共存できる空間づくりのイメージ図)
〈交流・にぎわい・複数人数〉
遊び
読み聞かせ
グループ学習
〈くつろぎ〉
様々な体験・実践
飲食・談話
資料閲覧
〈静寂・集中・一人〉
学習・思索
調査研究


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4 図書館外のサービスポイント設置の考え方
図書館サービスヘのアクセスを向上させるため、図書館以外で本を借りたり返したりできるサービスポイントを拡充します。

図書取次所:交通結節点や集客力の高い商業施設等に図書取次所の設置を進めます。交通結節点や商業施設等での設置を基本とし、サービス空白地かつ多くの利用が見込める地域にある地区センター等の身近な公共施設等においても設置を進めます。
移動図書:図書館や図書取次所の配置を念頭に置きながら、効果的なサービスの実施を進めます。
(イラスト。)

5 効率的・効果的なサービス提供とツールの充実/デジタル技術の活用によるサービスの最大化
デジタル技術の活用により、サービスを向上させるとともに、定型的な業務の効率化を図り、司書が専門性を活かした利用者サービスにさらに注力できるよう検討します。

取組の例
[ ICタグの導入]
例えば、貸出・返却のセルフサービス化、予約本の受け取りのセルフ化・対応時間の延長、自動化による人的コスト削減、不正持出防止が可能となります。
[ Alチャットボットやロポットの導入]
例えば、問合せへの対応としてAlチャットボットやロポットの導入等が想定されます。
(イラスト。)

6 多様な主体との協働・共創
横浜市にはたくさんの団体、組織、企業等があり、地域で活動する市民の方がいます。これらの数多くのプレイヤー(主体)の存在が横浜市の大きな強みであり特徴です。共創によって様々な取組を推進するとき、市立図書館は、様々な人と情報をつなげるコーディネーターとなります。様々な主体と手を取り合って、社会や市民ニーズの変化に応じた知識・情報サービスを創り提供する、開かれた図書館となります。
(イラスト。 横浜市立図書館と様々な主体との関係図)


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策定の過程
市民の皆様や有識者のご意見を伺いながら、横浜市図書館ビジョンを策定しました。
(イラスト。)

令和4年度
調査・検討開始
●市民アンケート
・ヨコハマeアンケート(1,335人)
・子育て世代向けアンケート(2,233人)
・団体利用者・ボランティア向けアンケート(405人)
●有識者意見聴取
●先行事例調査

令和5年度
令和5年5月  第2回市会定例会で策定予定について報告
6~7月 市民ワークショップ(134人)
(写真。市民ワークショップの様子 2枚)
●有識者意見聴取

9月 第3回市会定例会で基本的な方向性を報告

12月  第4回市会定例会で素案を報告
●市民意見募集(12月14日~1月21日)(273通、637件)
●有識者意見聴取

令和6年2月 第1回市会定例会で原案を報告

3月 策定


横浜市図書館ビジョン<概要版>(令和6年3月発行)
横浜市教育委員会事務局教育政策推進課
〒231-0005 横浜市中区本町6-50-10
電話:045-671-3243  FAX: 045-663-3118

横浜市図書館ビジョンの全編は横浜市ホームページからご覧いただけます。
https://www.city.yokohama.lg.jp/kosodate-kyoiku/kyoiku/plankoho/plan/libvision.html
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